15のチルドレン -Secret End-
「信じるしかねえじゃねえか…、秋本。お前の不安、坂本に言ったって困らせるだけだぞ。ただでさえ坂本は、消える現状に怖じてるのに」
「だからあんたに愚痴ってるんじゃない。阿呆」
あーそうっすか、俺ってカワイソー。
「遠藤、私が土壇場で愚図ったらとめてやって。私、坂本を見送るって約束したけど、見送れないかも」
「リョーカイ」
肩を竦めて俺は冷酒を胃に流し込む。
脇目で眠りに就いている坂本は、どことなく不安そうな面持ちで毛布に身を包めていた。
どんなに生意気したって、気丈に振舞ったって、帰れるか確信のない現状に怖じるのは当然の気持ちだと思う。
そして消えてどうなるか予測できない未来について、俺達も怖じを抱いている。
「ご神木。燃やせば良い方向に変わらないかな。俺、今ならまだ間に合うと思うんだ」
「やめときなさいよ。罰が当たって、もっと悪い方向に向かうのがオチだから」
そう言われても、坂本の言うあのご神木のせいですべての歯車が狂ったんだ。
俺的には憎い敵だぞ。
氷と日本酒を注ぎ足し、
「未来はひとつじゃない、か」
俺はグラスを回してそれらが融解するのを見つめる。見つめる。いつまでも見つめ続けた。