15のチルドレン -Secret End-



「今の日常にちっとも変化がないから、帰れたかどうか凄く不安だわ」


また一人で泣いてないかしら?
あいつ、虚勢を張るのだけは大得意だったから。

もし1996年に帰れなかったら…、また2011年に戻ってきて欲しい。


同居は苦じゃなかったし、また仕事から帰って来る私におかえりと言って欲しいから。


数分でメールが届く。

遠藤は『メンドクサイ』らしい。


建前ではメンドクサイって言っているけど、思い出したくないのよね遠藤も。



坂本が失踪したあの日々を。


じゃあ食事しないかってメールを返したら、『割り勘だからな』カッコ笑いで返信が来た。自分で食べた分は自分で払うわよ。

一笑を零して返信をした私は、再来週の日曜日に遠藤と会う約束を取り結ぶ。
こうして気の置けない奴と約束するっていいわよね。


あいつとは一生友達でいたいわ。


そう思う一方、私の心の隙間は大きくなるばかり。



“アラサーのくせに!”

 

アラサー、アラサー、人の歳ばっかり口にしていた坂本がいなくなった。

居場所を求めていた坂本が消えてしまった事実が爛れている心に沁みる。


ちゃんと私達のところに戻って来るって言っといて、今度は三人でアラサーになるって約束しておいて、なんで未来が変わってないのよ。


泣くわよ馬鹿。


鼻を啜り、私は放置していたチューハイを飲むことに没頭した。


どう嘆いても消えた坂本が戻ってくることはないんだ。
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