15のチルドレン -Secret End-
訪れる沈黙。
振り払うように遠藤はメニューを決めようと促した。
今日は俺の奢りだから好きなの食えよ、男前なことを言ってくれるけど、あんた、自分が遅刻したってこと忘れてるでしょ?
遅刻したから奢らせてるのよ。
この流れじゃ私が慰められてるようじゃない。
勝手に男前になるんじゃないっつーの。
不貞腐れつつ、羅列されているメニューを眺めていると携帯が鳴った。
遠藤の携帯だ。
着メロは坂本と遠藤の崇拝しているアーティストの曲、耳にするだけで坂本を思い出した。
切ない気持ちが胸を刺す。
遠藤は携帯を取り出し、ディスプレイも見ずボタンを押して「もしもし」
相手くらい見なさいよ。
仕事の上司だったらどうするの?
私のツッコミを聞き流す遠藤は、「山崎じゃんか」久しぶりだと表情を崩した。
遠藤の友人?
首を傾げる私に遠藤が中学時代の同級生だと、携帯から耳を話して教えてくれる。
ああ、同じクラスだった山崎君ね。
憶えているわ、よく遠藤や坂本とつるんでいたから。
「どうしたんだよ。電話するなんて珍しい? え、同窓会? ……ああ悪い、今日は予定があってさ」
嘘は言ってないわよね、私と食事しているんだし。
「だから行けねぇんだ」遠藤が言うと、『来いって!』山崎君の声が私の耳にまで届いた。
声がデケェ、携帯から耳を離す遠藤の携帯から大音量で聴こえてくる山崎君の声。
興奮しているらしい。