15のチルドレン -Secret End-



『お前、今日来ないとぜってぇ後悔するって!
だって今日の同窓会に来てるんだぞ、転校したあいつが来てるんだぞ!』
 


転校したあいつ?
 

私と遠藤は顔を見合わせた。

なんだか妙に胸が高鳴った。

遠藤は私にも聞こえるよう、スピーカーフォンにしてくれる。

「あいつ?」誰だと遠藤が聞けば、何を惚けているんだと山崎君。


喧嘩別れしたあいつじゃないか、と声音を高くした。


『坂本が来てるんだぞ、同窓会に! ほら、ご両親が離婚して、急に転校することになっちまった坂本 健だよ。

お前、喧嘩したまま後悔してるって言ってたじゃんか?

あいつが同窓会に来ているんだよ。
母方に引き取られて、苗字が小林に変わっているけど、お前が謝りたがっていた坂本が来てるんだって』



驚 愕 。


変わった、未来が変わった。


だって私達の知る坂本 健は15年前に失踪していて…、嗚呼、こんなことって。


「そうか」


遠藤は正常に戻ったんだと私に視線を戻した。


正常に戻った? それは一体どういう…。


「俺達さ、今生きる未来は“坂本が消えた”未来だと思っただろ?
けど、違う。この未来は“坂本がいる”未来だ。
あいつが15年前、失踪事件を起こさなかったら、あいつは親の都合で転校せざるを得なくなっていたんだ。これが元の未来だ」


「じゃ…、じゃあ」

「戻ったんだ。あいつが、15のあいつが過去に戻ることで…、本当の未来が…、っ、おい山崎! 同窓会の場所は学校だったな?!」


『え、お、おう。体育館を貸しきっ「すぐにそっち行くから、坂本を一歩たりとも外に出すんじゃねえぞ」


いいな、絶対だからな。
 

電話を切った遠藤を合図に私達は店を転がるように飛び出した。


まだメニューは頼んでいないのだから、食い逃げじゃないでしょ。多分。


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