15のチルドレン -Secret End-
「八度五分。かなり高いな。今朝から具合が悪かったんじゃねえの?」
「んーんー。別にそんなことなかったよ」
朝、ちょっとだけ体がだるいとは思っていたけど大したことじゃないって思っていたし。
今日も元気良く学校に行けたし、各教科目標のところまで先生たちに教えてもらったし。遠藤や秋本とも喋れたし。
早く教室に行きたいから、帰宅した後はこうして兄貴に勉強を教えてもらって。
あれ、やっぱ俺元気なんじゃね? フツーにスケジュールこなしていたわけだし。
だけど兄貴は容赦ない。
「馬鹿は鈍いのかもな」
風邪を引いた俺に毒言してくる。
返す気力もないや、馬鹿なのは自覚ありだし。
馬鹿だから勉強に苦労しているんだよな、困った。
「弱ったなぁ。こんなところで体調を崩したくねぇのに…、ちょっと寝てくるよ。明日に響かせたくないから。薬あったっけ?」
「夕飯食ってからにしとけ。あー、こういう時にお袋がいねぇなんざついてねぇな。親父は仕事で遅ぇだろうし」
「ははっ。しょーがないよ。母さん、お友達と映画って行ってるんだし。息抜きも必要だって。とにかく寝とくよ」
俺の失踪事件のせいで、ここのところろくすっぽう娯楽と無縁だったみたいだし。
いい息抜きになればいいと思う。
俺が言うのもなんだけどさ。
「上着借りとくな」
参考書と筆記用具を持って、俺は居間から出た。歩いてみて気付く。
結構足元がふらふらだってことが。
あっれ、こんなにやばかったのか? 俺。
勉強の時にはちっとも気付かなかったのに。
重い足取りで階段を上ると、どうにか自室に入って電気も点けず、勉強道具を机上へ。