15のチルドレン -Secret End-
「健? ああ、熱出してっから、寝てる。夕飯? 今食わせてる。
あーあーあーうっせぇな! そっち行くから待ってろ!」
荒々しくドアを開けて兄貴が足音を立てながら一階に下りて行く。
苦笑いを零して俺は食事を再開した。
兄貴、やっぱ父さんや母さんと上手くいってねぇんだよな。
だけど兄貴の言葉を借りるなら、焦るな。
少しずつ、少しずつ、だよな。
今は兄貴の親を突っぱねる気持ちも尊重したいし。
半分ほどうどんを平らげた俺は、お盆に小皿を置いて、コップに入っている水と一緒に薬を流し込む。
寝ようとしていた時に、母さんが上がって来て声を掛けてきたから大丈夫だって返事。
入れ違いに兄貴が入って来て、これまた少しは食ったかどうかと聞いてきたから美味しかったと返事。
電気を消して眠りに就いていたら、こっそり父さんがドアを開けて中を覗き見してきた。
お帰りと言いたかったけど、すぐ父さんは一階に下りちまったから心中でお帰りと言ってやった。
皆がこんなにも心配してくれる。それが嬉しかった。
兄貴の言うように、ちっと飛ばしていたかもしれない。
もう少しペース配分を考えて、頑張っていかないと…、もう2011年にいた時のように時間に迫られることはないんだから。