15のチルドレン -Secret End-
俺の言い分に秋本、「ごめんなさいね」悪びれた様子もなく謝罪。ちっとも詫びが入ってねぇな。
次いで彼女はこう物申す。
「いっぺんにあの子を混乱させたくなかったのよ」
と。
「坂本、すっごく不安になっていてね。目が覚めたらアラサーの私には再会するわ、見知っている街が変わっているわ、自分が失踪しているわ。
相当ショックを受けていたの。
坂本、ちょっと神社で昼寝をしていただけみたいなのよ。
なのに目が覚めたら…、あの子の中の時間は失踪事件直前で止まっているわ」
ということは俺が、坂本に辛辣な言葉を吐いたあの日から時が。
「再会した日」
坂本は今朝15の私と会ったんだって言っていたわ、秋本は泣き笑いを零す。
「私達は必死こいてあの子を捜していた。
その間の時間、坂本の中では凍結しているのか、はたまた別の意味があるのか、一切空白なのよ。
私の部屋に置いているけど、1週間くらいはこれからのことについて随分怯えていたわ。勿論、本人が直接言ったわけじゃないんだけど。
でも不安よね、こんなことになっちゃっているんだから」
「すべてを信じているのか? 秋本は」
「遠藤は信じられないわけ?」
そうじゃないけどさ。
俺は苦笑して、「15の坂本か」歳が二倍もあるなんて不思議な気分だな、と話題を明るく色付ける。
「ほんとね」便乗してくる秋本に、俺は重ねて言う。
坂本を俺の部屋に置こうか、と。
俺はバツイチで独り身だ。野郎が増えても構いやしない。
秋本は教師だし、なにかと15の少年を置いておくのは不味いだろう。
んんん、性的な意味でもさ。
坂本、あれでも秋本のことが好きだったわけだし?
ガオーッなんてするかも。
中学の男って意外とオサカリな年頃だしな。
茶化しは秋本の脛蹴りによって掻き消される。
冗談の通じない奴だな。