屍村

開くと全然使われていない匂いがする。
一歩進むと埃が舞う。

手に厭という程汗を掻いて。

奥にある手術台に眼をやった。

人が寝ている。

ブロンドの髪。
細い腕。
あの腕時計。

間違い無く妻の雪子だった。

< 129 / 137 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop