『蒼色の瞳の猫』
どうしてこんなときに声をかけるの?
…この人の考えがしれない。

『…なんでしょうか』

平然と答えた。
寒いから早く帰りたいというのに。

『……何、無愛想してんの?バカ?』

『はぁ?』

何、コイツ!?
人の事…バカって言った?
言ったよね!?


『何故あなたにバカ呼ばわり
されなくてはいけないんですか?』

コンビニ袋が重い。
ただでさえ手がかじかんで痛いのに。

『…お前、海美だろ。舞空海美。』

『え?』

あたしが隙を見せた瞬間、
マスクを取られた。

『あ、ちょっと…!』

『…ヒドイ顔だな』

そう言って、一人で笑いだす。
…何なの、この人は。

あたしは、反論する言葉も失った。
呆れたから…もあるけど、


この人の笑顔が、温かくて…
昔夢みてた温かさだったから、
今は、なにも言わない方がいいかなぁ、なんて、

そんなことを思ってしまったから。


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