『蒼色の瞳の猫』
『…っ…』

そうしたら、何故だか止まっていたはずの涙が、
あたしの中から積を斬ったようにあふれ出てきて。

『なっ…!?ちょ、俺が泣かせたみたいじゃねぇか!』

違う。あなたのせいじゃない。
ちょっと昔の事を思い出しちゃっただけ…

この人は、あたしと関わっちゃいけない。
巻き込んじゃ、ダメだ。

この人には未来があるんだから________

あたしは、信号が青になったのを見て、
一目散に走って家に逃げた。

『おい!待てよ!』

後ろから追いかけるのが聞こえたけど、無視した。

自慢じゃないけど、あたしは小学校のころに
陸上部だったから、

走るのは結構早い。
その逃げ足で、急いで帰って鍵を閉めた。

『はぁ…ッ、はぁ…』

息切れが凄かった。
こんなに走ったのもそういえば久しぶりだった。


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