Don't touch me
少年は嗚咽を漏らし、こちらを向いた。



「僕は、彼女を傷付けてしまいました…」

「それで?」

「彼女が傷付いたと思うと、悔しくて、悲しくて…」

「ふうん」



私には理解出来ない感覚だ。

いや、理解したくない感覚だ。他人の感覚を想像して感動するなんて。



「その彼女は?」

「…去って行きました」

「捨てられたの?」

「…そうでしょうね」

「大変だね」



少年は力無く笑った。



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