逢い唄
君との記憶。
1時間目終了のチャイムが鳴り響く。
私は、気合いと根性で
泣くのをやめ、立ち上がった。
泣き顔は相当凄いことになっているだろう。
でも、構わず
私は、1年7組に歩み出した。
休み時間に入っている教室には
かなり、入るのに勇気が必要だった。
扉に手を近づけては、遠ざけたりの繰り返し。
クラスの人たちに
バッと見られるのは、正直、恥ずかしい。
でも、目をキュッとつむって
入ろうとしたとき
那月が、廊下に出てきた。
「あ。美菜ぁ~うち、どこに置いて来ちゃったかって…心配だったんだからぁぁぁ!!!」
目にいっぱい溜めた涙目で
私に、抱きついて来た那月の体は
微かに、震えていた。
「ゴメンね。那月…心配かけて…」
そう言って、私も
強く、抱きしめた。