逢い唄
(まったく…面倒くさいなぁ~…)
心の中でブツブツ文句を言ってみては
憂鬱感に浸っている。
7月の下旬の天気ときたら
言葉を失うぐらい暑い…
玄関に来たぐらいでもムワっとした風が頬を撫でる感覚が気持ち悪い以外に何もない。
私の片手には洗濯籠、もう片手はドロドロに溶けてしまったアイス。まるで家事の合間の主婦かよとツッコミたいぐらいだ。
玄関を抜けると言わんばかりに降り注ぐ太陽が憎くなるぐらい暑い
「はい。コレ、」
私はお母さんにずいと洗濯籠を渡す。
洗濯籠の中身といったら洗濯し終わった服やらズボンやらで
かなり、重いものだ
「だ~か~らぁ~美菜が干しなさいって…!!」
語尾に近くなるほど強調して言うから
何気に腹が立つ
(普通に言ったっていいじゃん…)
眉間にシワを寄せる私。
それを「早く、干して来いよ」と目で伝えるお母さん。
沈黙のこの空気を破ったのは、お父さんだった
楽観的なお父さんだが、今は急いでいるらしく
イライラしている様子が感じられる。
「二人で…干してくれば…いいだろ…?」
(やばい…)
多分、お母さんも私と同じ事を思ったんだろう。
そして、そそくさと物干し竿に向かう二人。