逢い唄
お父さんはキレる寸前は、区切れ区切れでしゃべるのが癖だ。
「ちょっと、早く行く準備しなさい!!」
小声で話すお母さん。
「だって、友達と明日遊ぶんだもん!!」
私も、お母さんに負けんと小声で言い返す。
洗濯籠を2階のベランダへと運ぶ2人。
しかしながら、小声の言い合いは止まることを知らない。
「また、後で誘いんしゃい。」
「無理だってばぁ~一緒に自由研究するんだよ~?」
たちまちベランダへと辿り着いてしまった。
「お父さん、キレちゃうじゃないの?!」
「知りませんーだっ」
洗濯籠から洗濯物は次々減ってゆく。
「もーしょうがないわねぇー頑固すぎよ!美菜!!」
「それは、お母さんの血を引いてるからですーだっ!!」
「まぁ!!美菜の方が頑固よ!!」
洗濯物はラスト一枚となった。
「私は、一人で何もかも出来るもん!!」
・・・・・・そして、全ての洗濯物が干し終わった・・・。
「美菜・・・お父さんに相談しましょ?!」
(勝った・・・)
私は、密かにガッツポーズした。お母さんにバレぬようにそーっと・・・