逢い唄
私は、バタバタと制服と鞄を両手に持つ。
朝ご飯どうしよう?
時計を見る。
あと、3分後には学校に行かなければ
完全に遅刻だ。
いいや。私なんか、ご飯食べなくても
貧血なんか起こさないタイプだし。
制服に袖を通す。
あと、2分。
玄関まで、全力疾走。
あと、1分。
ローファーをトントンと鳴らしながら
履く。
「行って来まーす。」
私は、無我夢中に叫んだ。
「美菜!!朝ご飯はいいの?」
という母の声なんか気にせずに。
歩道橋を渡る。
那月が腕時計を見ながら
辺りを見回しているのが見えた。
「那月!!!ごめ~ん」
「まったく…美菜は新学期になる度に、遅刻しそうになるよね。」
佐藤 那月。
私と一緒のクラスで、一番の親友。
陸上部に所属していて
20分掛かる学校への道を
たった7分で、行く強者だ。
にっこり笑う那月。
嫌な予感が頭を過ぎる。
このパターンは……
「美菜。ダッシュしなきゃ学校遅刻するね。」
私には、悪魔の微笑みに感じる……
冷や汗が頬を伝う。
「行っくよ~美菜!!よーいドン!!!!」
「えぇ!?」