逢い唄
那月の姿があっと言う間にはるか彼方へと遠くなってゆく。
「え~待ってよ那月ィ~!!!」
彼女には聞こえてないようだ。
私の事なんか見向きもしない。
そして、完全に那月の姿は
私の目の前から
消え去っていた。
「ちょ…ちょっと…はッ…早すぎだよ…那月…」
息が切れて
もはや、文節ごとに切れて言葉にするしかない。
あと学校まで
400メートル近く。
日頃、運動なんかしない私には
軽く6分は掛かるだろう。
「はぁ。もう、間に合わないよぉ…」
弱気が言葉になる。
その時
急に体が重く感じ
頭がクラクラし始めた。