恋〜koi〜
バイトが終わったあたしは、今彼と公園に来ている。
何だかよくわかんないけど、気がついたら言われるままにここに辿り着いていた。
「バイトとかすげーな。いつからやってんの?」
「……9月ぐらいから」
「へぇー!偉いじゃん。俺なんか部活やってるだけだぜ」
……まだ、バスケやってんだ。
そういえばあたし、バスケやってる彼を見るのが一番好きだったなぁ……。
そんなふうに会話が始まったわけだけど、あたしの耳に彼の話なんてほとんど入ってこない。
こんなとこ……彼の彼女に見つかったらきっと誤解される。
色恋沙汰に巻き込まれるのは、めんどくさいから嫌なのに。
そういえば、彼女とはどうなったのかな。
別れちゃった…?
急にあたしを誘ったのも、何か関係あるの?
言いたいことや聞きたいことが溢れて、言葉となって出てきそうになるけど、なんとか堪えた。
だって……彼女とのノロケ話を笑って聞いてあげられるほど、あたしは大人じゃないから。
あんなに仲良しなカップルだもん、別れてるわけがない。
つらい思いをして、夜にひとりで泣くのは……もう嫌だ。