恋〜koi〜



その日の放課後、あたしは大好きな彼氏と帰っていた。


「それでね、あたしがこう言ったら急に怒っちゃってさ!」


「うん」


いつもこう。
あたしが話す内容に、彼が頷いて相づちを打つ。


……って、違う!


今日はどうしても言いたいことがあるんだった!


「ねえ」


「ん?」


あたしは立ち止まった。
それに気付いた彼も、あたしより二、三歩先の場所で足を止める。


「あのね……お願いがあるの」


「何だよ、急に?」


顔が赤くなっていくのが自分でもわかる。
大きく息を吸って、あたしは叫ぶように言った。



「ちゅ……チューして!!」



あたしの言葉に、彼は目を丸くして驚いた。


さすがに唐突すぎたかな?


でも、いくら硬派で奥手な彼でも、彼女からこんな風に言われたらチューしないわけにはいかないよね。



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