恋〜koi〜
びっくりした。
そんなこと言われたのは初めてだった。
確かに、くじを配る人というのは自分の分を途中で引くわけにはいかなくて、くじを引くのは必然的に一番最後になる。
みんなが引かなかった残りを、自分が引いたくじとするしかない。
それが、くじを配る人の運命みたいなもの。
そこまで気にしてなかったけど、やっぱりHR委員ってのは損な役回りなんだと思ったことはある。
今まで誰もそんなこと気付いてくれなかったのに、彼女は……。
「気持ちは嬉しいけど……二枚だけじゃ、あんま意味なくね?」
俺が率直な意見を言うと、彼女は「あ…」と小さくつぶやいて何故か謝った。
「そうですよね……すみません」
「ああっ、んな顔すんなよ!冗談だって!」
慌ててフォローすると、彼女が大きな瞳を俺に向けた。