K.O.O.L−kiss Only One Love
−−−−−−


サチが帰ってから、あたしはまだ教室にいた。

窓側に立ち、校庭を見る。

雨やむ気配なしか…


恭介まだかな…




すると突然フワッと身体が包まれた。



「まだ帰らないの?」



あ…
振り返らなくてもわかる…



あたしはあたしを包む腕をギュッと握る。



「今から彼氏が迎えにくるから待ってるの」



「ふぅ〜ん。彼氏以外の男に抱きしめられてて、よく彼氏の話出来るな。」


「…じゃぁ、離してくれる?」


「ヤダ。」


「…バカじゃない?」


「よく言われる。」


「…エロい」


「それもよく言われる。」


「……」


「携帯貸して。」


あたしはポケットから携帯を出して渡した。



何やら操作してるのが背中越しにわかる。


「これでよし!はい。」


あたしは携帯を手渡してもらって、ポケットにしまった。



「さ、帰るぞ♪」


「へ?だから、彼氏が迎えにくるから…」


「来ないよ?」


「へ?!」


「今、[今日は友達と遊ぶ事になったから迎えはいらないよ]ってMailしといたから。」


「へっ?!」


「ほら、行くぞ。」


あたしは相原くんに手を掴まれてそのまま校舎を出た。



「あ!傘ないの、あたし。」


「一緒に入ればいいじゃん?」


相原くんは傘をさして、あたしにおいで…とジェスチャーする。



傘に入ると、相原くんはあたしの肩をグッと引き寄せた。




「濡れるといけないから…」



相原くんは綺麗な目であたしにニッコリ笑う。



「ありがとう!」

あたしも相原くんに微笑んだ。
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