K.O.O.L−kiss Only One Love
駅に着き、あたしは切符を買って、改札をくぐる。
相原くんとは同じ方向だったから、電車が来るまで二人でベンチに座る。
同じ学校の子たちがあたしたちを見て、ざわついている。
…きっと、あたしが彼氏から相原くんに乗り換えた…なんて思ってるんだろな。
あたしはまわりの視線を気にしてしまうけど、相原くんはそうでもなさそう。
「あ、あたしなんかと一緒にいていいの?」
「なんで?俺が誘ったんだから。嫌?」
「嫌じゃないけど…」
「じゃぁ問題ないじゃん」
「…うん」
「今から暇?」
「暇だけど?」
「よし!ちょっと寄り道してこ」
−−−−−−−
あたしたちは、CDショップや雑貨屋、ペットショップ…をまわった。
あたしは平気な顔してるけど、繋がれた手が汗ばんでいた。
「手汗すごくない?」
「えぇ?ごめんっ!」
あたしはバッと手を離して、制服に手をこすりつけた。
「いいよ。初々しくて。」
相原くんはクククっと笑う。
「…ごめん。こういうのあんまり経験なくて…」
「彼氏とは?」
「こういうのはないから。」
「ふぅ〜ん」
「な、なんかデートみたいだったね♪相原くんのファンに怒られちゃうわ」
「…みたいじゃなくて、デートなんだけど?
それにファンとか言うなら、夕葵のファンにだって俺殺されちまうって…」
「ハハハハ…ないない!」
あたしは《夕葵》と呼ばれた事に動揺していた。
「…夕葵あのさ。」
…名前呼ばれるだけでドキドキする…
「彼氏と別れてくんない?」
「えっ??」
「彼氏と別れて、俺と付き合ってって言ってんの」
「えぇぇぇぇぇ!?」
あたしは、人目を気にせず叫んだ。