K.O.O.L−kiss Only One Love
「ってか、夕葵。
制服びしょ濡れ…せっかく美人が台なしじゃん…」
「水も滴るなんとやら〜かな♪このままジャージに着替えてくるわ!」
そう言ってあたしは廊下に並ぶロッカーからジャージを出して、適当に空いてる教室を探しに行った。
特活室…朝だし、ここなら誰もいないか。
あたしはその特活室に入って、制服のブラウスを脱いだ。
「朝からいい眺め…C75くらい?」
誰かいる!!
あたしは声のする方を見た。
「俺居るのにいきなり脱ぐなんて大胆だね♪2年2組石川夕葵ちゃん。」
その人は、廊下側の床に膝を立てて座ってあたしを見ている。
咄嗟にあたしは脱いだブラウスで、上半身を隠す。
…でも、声が出ない。
あたしは、その人の視線に絡まれるように動けなくなっていた。
ただ、あたしの心臓がドクン…ドクン…と高鳴っていた。
「風邪ひくよ?早く着たら?」
一気に顔が熱くなる。
あたしは急いでジャージを着る。
その人はそのまま近付いてきて、あたしの目をじっと見た。
大きく切れ長な、茶色がかった目であたしを見る。
「またね♪石川夕葵ちゃん♪」
あたしは、その瞳に一瞬で射ぬかれた…
その人はそのまま部屋を出ようとする。
「ま、待って!!」
「何?下も見せてくれるの?」
「…な、名前は?」
「山田太郎…」
その人はそう言って部屋を出た。