K.O.O.L−kiss Only One Love
教室に戻るとサチが心配そうにあたしに声をかけた。
「夕葵…」
あたしは、ニッコリ笑って、「大丈夫だから…」と答えた。
あたしは、大和をまだ想ってる?
あの時、大和の誕生日を最後に…って決めたじゃない。
あたしの想いは、大和には向けちゃダメなんでしょ?
「夕葵…ちょっと話そうか」
サチがあたしの横に座る。
「ねぇ、夕葵。まだ…高橋先生の事好き?
あの時、先生と一線越えちゃって、先生しか見れなくなってたじゃない?」
「…うん」
「その時は、先生の事が多分…凄く好きだったんだと思うんだ…
でも、今は…きっと《先生が好きだった頃の夕葵》に戻ってるだけなんだと思う。」
「え?」
「なんと言うか…今の自分を過去の自分と重ねてるだけ…っていうか。《先生が好き》って勘違いしてるだけなんじゃないかなぁ…って。」
「……」
「そりゃぁ、いきなり昔の好きな人が目の前に現れたら、《あ、まだ好きなのかも》って勘違いしちゃうだろうけど…それって違うよね。」
あたしは堪えていた涙を一気に流した。
「ご、ごめん、夕葵!」
あたしは横に首を振る。
「あたしこそ、ごめん…」
サチは泣いてるあたしの背中を優しくさすってくれた。