K.O.O.L−kiss Only One Love
サチが帰ってから、あたしは涼太にMailした。
[今どこ?もし学校にいるなら、いつもの所に来て…]
するとすぐに返信があった。
[いる]
あたしは、急いで旧図書室に向かった。
旧図書室の前で、深呼吸をして、そっとドアを開ける。
窓側で校庭を見つめる涼太の後ろ姿が目に入る。
あたしはゆっくり涼太の近くに行く。
「涼…「言っとくけど。俺、別れないし、アイツに夕葵を譲るつもりもないから。」
涼太はチラっと鋭い視線をあたしに向けて、また校庭に視線を移す。
「俺は、夕葵の中からアイツが消えるまで待つ事にしたから。っつうか、俺が夕葵の中からアイツを消すから。」
「涼太…」
あたしの心が一気に温かくなった。
「俺、1年の時から夕葵をずっと見てた。初めは可愛いなぁって興味だけだったけど…
教室移動の時も、体育祭の時も、毎朝男の車から降りてくる姿も…ずっと見てた」
「だから初めて特活室で二人きりになった時、目が離せなかった…
初めて声を掛けられて、舞い上がるくらい嬉しかった…」
「…でも。夕葵の中には誰かがいた…」
涼太は髪をくしゃっとして言った。
「俺は夕葵を諦めないから…」
そう言うと、涼太はあたしの横を通り過ぎて行った。