K.O.O.L−kiss Only One Love
「ちょっ、ちょっと!どこ行くの?!」
「いいとこ♪」
「えぇ?!」
着いた先は旧図書室。
相原くんに促され中に入る。
「こっち来て座って」
その旧図書室の窓側の床に座らされる。
相原くんもあたしの横に膝を立てて床に座った。
「……」
「……」
お互いに黙る。
雨が一層激しくなったのか、窓の外からは激しい雨音が聞こえる。
旧図書室のトタンの雨よけに雨が当たって、心地よいリズムの音がする。
「…なんか…気持ちいい音…」
「だろ?俺、雨の日はたいていここに来るんだ。」
「いい場所だね…」
あたしは雨音を聞きながら目を閉じた。
「あのさ…」
「なに?」
突然、相原くんに声を掛けられてパッと目を開ける。
「なんでいつも彼氏に送ってもらってんの?」
「う〜ん…ついでだから?彼の大学の通り道だし…
ってか、なんで知ってるの?」
「なんでって、有名じゃん♪」
「そうなんだ…
そういう相原くんもなんで朝からあんなトコいたの?」
「あぁ…アレは朝から女にキャー×2言われるのがウザイから。」
「隠れてたんだ?モテる人は大変だねぇ。」
「…まぁな。」
「とりあえずそこは謙遜しと…こう…」
あたしは、隣に座る相原くんを見た…
相原くんは目を閉じたまま…
茶色い髪…
長い睫毛…
綺麗な唇…
男の子に初めてドキッとした。
あたしは無意識のまま、
目を閉じている相原くんにキスをした。
あたし…何してんだ?!
我にかえり、パッと相原くんから離れようとした時、
あたしの後頭部をガッと押さえられた。
相原くんの唇まで1センチないくらいの距離で…
「大胆だな…石川夕葵ちゃん♪」
今度は相原くんからキスをされた。
あたしは、完全に相原くんにオチタ。