【完全版】秘密のフィアンセ☆ 上
佑斗の初恋相手
その日は一日中、ずっとイライラしていた。
晴彦が、ご機嫌取りに話しかけてきても、全部無視してしまったし。
「ねえ、帰りも一緒じゃないといけないの?」
ウンザリした私に、晴彦は申し訳なさそうな顔で頷く。
それを見て、また、ため息が出た。
晴彦が嫌なんじゃない。
何も教えてくれないまま、まるで監視されているような、そんな生活が嫌なだけ。
結局、一言も口をきかないまま帰ると、玄関に見慣れない靴があった。
「あれ?誰か来てるのかな?」
晴彦は急いでどこかへ走って行った。
見た感じでは、女性物の靴なんだけど・・・。
しかも、若そうな。
まさか、佑斗のお母さんの靴じゃないだろうし。
誰か来てるのかな?