【完全版】秘密のフィアンセ☆ 上
しかも、晴彦ってばどこへ行ったのよ。
肝心な時は、いないんだから!
こんな広い家で一人にされると、誰がどこに居るのか分からないのよね。
「晴彦!ここ?」
リビングのドアを思い切り開けると、晴彦と佑斗、そして見知らぬ女の人がいた。
「あっ、由奈さん」
慌てて晴彦が私の側へ駆け寄った。
``由奈さん``って・・・。
この人にも、内緒にしないといけないのかな?
ま、いいけど。
「あ、こんにちは。有坂 琴(ありさか こと)です」
ソファーに座っていたその人は、立ち上がると深々とお辞儀をした。
「初めまして・・・」
``琴``ちゃんて、名前も可愛いけど、顔も可愛い。
長い髪は、無造作にサイドで丸めて結んでいる。
目がクリッとして、つやつやとした唇。
カジュアルな服装がとても似合っていて、女の私でもドキドキしちゃうくらい。
しかも、背が高い!
まるで、モデルみたいだわ。
うっとりしていると、琴ちゃんはニコっと笑った。
「私、佑斗くんと小学校の時、クラスメイトだったんです」