白花に恋する(企短)





「それ、なずなって言うんだって」

「そうなの?よく知ってるね」

「調べた。湖都が好きだって言ってたから」


ぶっきらぼうに応える彼が可愛くて、私はもう一度「ありがとう」と言いました。


「別名ぺんぺん草って言って、ほら、この実が三味線のバチに似てるんだって」

「へぇ」

「で、この実を、こうして」


1本、花束から抜き取って、その実をそっと下に引っ張ります。


「こうすると、」


その花をクルクル回すと実が当たってチャラチャラと微かな可愛い音が聞こえました。

よく遊ぶ、近所の公園でのことでした。





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