白花に恋する(企短)
得意気に笑う彼に笑みを返すと、少し顔を赤くしてそっぽを向いてしまいます。
「可愛いねぇ」
そんな様子をさほど気にせず薺を愛でると、彼もこっちを向いてまた一緒に笑い合う。
私達のいつものパターンでした。
私は少しマイペースで鈍感なところがありまして、この頃から彼を翻弄していたのかもしれません。
「これから毎年、湖都にやるから」
彼は少し言葉足らずで不器用なところがありまして、この頃から私は考えを読みとるのに苦労しました。
「ずっと一緒にいような」
「うんっ」
子どもなりに真剣な彼に、意味の分かっていなかった私は無邪気に頷きました。