白花に恋する(企短)
ますます分からず困ったように笑う私の手を取って、彼は何も言わずにぐいぐい引っ張っていきました。
ついたのはいつかの公園。
その頃はもう、公園で遊ぶこともなくなり前を素通りするのが日課でした。
久々のそこはなにも変わっておらず、とても懐かしく口元が緩みました。
「はい、座って」
「…………?」
肩を押されてベンチに座ると、私の隣に彼も座って、横向きに向かい合わせになりました。
「ここで俺が言ったこと、ちゃんと覚えてる?」
「…………?」
「でしょうねぇ」
また、ため息。
幸せが逃げるよと注意すると、「いいよ、ちゃんと取り戻すから」と真顔で言われたので口を閉じました。
いくら私でも、辺りに流れる異様な雰囲気を感じ取りました。