白花に恋する(企短)
篤沙と呼ぶようになったのは、中学校を卒業する少し前のことでした。
入学祝いに買って貰った携帯に一番最初に入れたアドレスは、家でも親でもなくて篤沙のものでした。
あの頃の私は、間違いなく彼のことを友達以上に想っていたと思います。……今なら、分かります。
それなのに、
「ごめん、なさい」
私はそれだけ呟くのが精一杯で、公園を走って出て行きました。
持っていたはずの花束は、ベンチに忘れてきてしまったようで、家に着いた私の手の中にありませんでした。