俺と生徒。
「裕ちゃーんっ♪」
「おー!中川!久々だなあ!」
「まじ、裕ちゃんに会えなくて死ぬかと思ったかんねー」
「ははっ」
中川が変わってなくて安心した。
「裕ちゃん、生徒に告白されたりしてない?」
相変わらずな奴(笑)
先生と生徒は恋愛禁止って何回言ったらわかるんだか。
「ないない。馬鹿なこと言ってないで勉強しろよ、受験生。」
中川はもう三年生だから、受験シーズン真っ盛りだ。
きっと中川は頭がいいからいい大学へ行くんだろう。
「んー、あたし家つぐから受験も何もないんだよね。」
「え、家?」
「うん。あたしん家、そば屋なんだ。あまり売れてないけどさー(笑)」
笑いながら言ってるけど、顔があまり笑っていなかった。
こいつ、無理してるな。
そうわかったところで、俺には何も言う資格なんてない。
だから俺は、中川の頭を優しく撫でた。
「無理すんなよ」
それしか言えないなんて情けないな。
「先生…あたし…」
中川が涙を目にためる。
唇を震わしながら、ゆっくり口を開いた。
「先生が…好き…」