世界に神は捨てられた
「行ってきま〜す!」

あえて誰もいない家に声をかけた。
そして、新しい学校に向け走り出す。




毎日が平凡。
人と違うのは親がいないことと宝くじの運が良いくらいだ。まあその宝くじも生活に必要最低限の分しか当たらないのだが…


「あ〜空から訳あり美少女でも落ちてこないかな〜」
ありえないとわかりきっていることを呟く。


『落ちてこないと思うぞ?』

「だ、誰だ!!」
声がした下をむくと自分のものではない影がうつっていた。
「こ、この影は空から美少女か!!」
上を見上げる。

1秒…2秒……3秒………
何も落ちてくる気配はない

少し、ほんの少しだががっかりする。
俺も平凡が好きな訳ではないから。
しかし、平凡なのは変わらない……いつでも。
何故かわからないけれど何をどんなに努力しても結局は変わらない。
唯一習っていた空手も、全国大会に出れるっていう時にもう空手が出来ないほどの怪我をしてできなくなった。だから俺は諦めた。
平凡から抜け出すことを……。


『やっと見つけた』
足元から小鳥のさえずりのように透き通った声がした。


「!!!な、なんで手が地面から!!」
俺の身体を這って手が上がってきた。
手と一緒に身体が出て来る。
それは一人の少女だった。

。彼女の出現で、青空が一変し、灰色に染まった。
碧の瞳は澄み切った泉のように美しく、髪は綺麗な金色に染まっていて、白銀の雫を纏ったように光り輝くその容姿は、何者も近寄らせない神々しさに溢れていた。


「世界から寵愛を受け、神たる私にも寵愛を受け続ける者よ、私を護り、そして、、、愛せ」

彼女は唐突に言った。

……俺はなんの反応も見せることが出来なかった。

突然の発言に驚いたわけではなかった。

そして、俺は彼女に見とれていた……わけでもなかった。



この場面が昔もあった気がしたのだ。

『そんなことはありえない。既視感だ。』

いくら自分の中で否定してもその感覚はなくなることはなかった。


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