ーキミと誓った約束ー
そうして,教室に入って来たのは…
綺麗な男の子だった。
光に反射して,透き通るようなサラサラな茶色の髪,そして切れ長の瞳に,スッと通った鼻筋,形の良い唇,170以上はあるだろう長身で,長い手足…。
ーーまさに絶世の美少年…という言葉が似合いそうである。
「ーじゃあ、里中君…自己紹介してくれないかな。ひとことで良いから」
安藤先生の言葉に頷く男の子は,教室中を見渡した後に,ゆっくりと口を開いた。
「里中…裕真(サトナカ,ユウマ)です。宜しく」
ぶっきらぼうに答える,男の子の名前を聞いた私は,一瞬,夢なんじゃないかと思った。
ーーー裕真君だ。。。
先生が裕真君のことで軽く話をしてたが,私の耳には全く入って来なかった。
「ーじゃあ,里中君の席は……篠宮…篠宮舞華(シノミヤ,マイカ)の隣なー」
「ガタンッッ!!……え!?」
思わず驚いた拍子に私は,その場から立ち上がってしまっていた。
「ほら…お前の隣の席しか空いてないだろー」
そう言うと先生は,私の隣の空いてる席を指差している。
ーーあ、本当だ。気付かなかった。
「じゃあ,篠宮よろしくなー…」
安藤先生の声に,ハッと我に返ると,教壇の前に居たはずの裕真君の姿がなかった。
「は,はい…」
気がつくと目の前には,裕真君が立っていたのにすら気付かなかった。
《カタン…》
「あんたも座れば……?」
ーあんたとは…多分,私のことだろう。
「う…うん,」
頷いて,椅子に座ると,
「あんた…舞華だろ?久しぶりだな」
フッ…と軽く笑う裕真君に,私は呆然としながらも,コクンと頷いた。
「………あの時は,悪かったな」
俯いて,表情が見えなかったが,頬が少しだけ赤く見えたのは,気のせいだろうか。
ーー私のこと、覚えていてくれたんだ。
今にも零れ落ちそうになる涙をグッとこらえて,私は横顔の裕真君を見つめていた。