時を越えて ~約束~
「ねぇ、花鈴?
まだ'あのこと'引きずってるの?」
遠慮がちに柚妃の口からこぼれた言葉。
「別に…。
引きずってないっていっても嘘にならないし、引きずってるっていってもおかしくないかんじかな。」
「…やっぱり、私のせい?」
彼女は目に涙を浮かべて言う。
「そんなこと、あるわけないでしょ。
…私は柚妃に感謝してるよ?
――それにどうしっちゃったの?そんな前のこと。」
「…だって。いま花鈴、陸人の隣だから思い出しちゃってるんじゃ無いかな。って思って。」
「確かにあいつのことは嫌いだし隣も嫌だけど。
柚妃のせいじゃないんだよ。それにね・・・」
これから話そうというときにチャイムが鳴り出した。
「あっ。席に着かなきゃ。また後でね。」
私はあのあとなんと言うつもりっだたのだろう。
柚妃にだけは嫌われたくないのに。汚くて醜い自分を晒すつもりだったのだろうか。
あのときから私の中の時計は狂ったままだ。