時を越えて ~約束~
二人
「花鈴。着いたぞ。ここで俺たちは一週間過ごすのか。
・・・お互いがお互いを苦しませたいみたいだから、二人っきりっていうのは都合良いよな。」
そう言って奴は私を嘲笑う。
…少しだけ驚いた。
私のことをあまりに自然に花鈴と呼んだから。
――これは私に対する挑戦なんだろう。だったら私も陸人と呼んでやる。
「そうだね。本当に二人だけだから周りの目を気にしなくて済むし。学校の王子みたいな陸人には絶好の機会だよね。」
「それをいうなら。学校の姫みたいな花鈴もいいチャンスだよな。」
ムカつく。余裕を持って言葉を返されることも。
何もかも知っているように話す表情も。
だけど、私は陸人に屈しるわけにはいかないんだ。
だって、過去を清算しなくちゃいけないから。