時を越えて ~約束~



『本当は来世の自分に干渉してはいけないの。』

「どうして?」

『だって。前世の私と来世のあなたは、違う人間なの。同じ魂でも、考え方とかは違うでしょ。大事なものや信念だって違う。それに私は死んでるの。ずっと前に。その私が、来世で意思を表せたら蘇りというか、あなたを乗っ取ることもできてしまう。…だから、来世の自分に干渉できる術式を使うことは、禁止されてる。つまり、私が使ったこの術は禁術なの。』

「そうなんだ…」


他になんていえばいいのか分からなかった。
だって瑠璃があまりにも切なげな目をしていたから。

本当は、どうしてその禁術を使ってしまったのか聞きたい。
だけど、聞けない・・・


『…どうして、私が禁術を使ったのか聞かないの?』


驚いた。私の気になっていたことだったから。


「聞いたら悪いと思ったから…」

『気を使わせちゃったのね。別にいいのよ。』


さっきの切なげな目は錯覚だったのかと思うほど、今の瑠璃は穏やかな表情を浮かべているから、その話を聞くことにした。



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