時を越えて ~約束~
気づいてた。
陸人が私を憎んでいることぐらい。
「さあ。私には理解しかねる。だけど、私のことを憎んでいることは知っているわ。だから私をいじめたのでしょう?」
「やっぱり、気づいていたんだ。じゃあどうして聞かなかった?俺が恐いの?」
憎らしいほど美しい笑顔で私に問いかける奴は悪魔にしか見えない。
「恐くはない。聞かなかったのには理由がある。」
…本当に、恐くはないんだ。
ただ、あのときのことを思い出したくなかっただけで。
陸人に感じる感情は恐怖よりも憎悪だから。
自分がいかに醜い人間なのかを知りたくなかったから、思い出したくなかった。あの頃のことなんて。