時を越えて ~約束~
俺には一人姉がいる。といっても両親の再婚で姉弟になったわけだが。
・・・血が繋がっていないからといってアブナイ関係ではないが。
そもそも両親が再婚したのは俺が1歳の時だから血の繋がった母親のことは覚えていないし、会いたいと思ったこともない。
父親の再婚相手の香澄さんは子供好きで優しい人だから血の繋がりのなさ感じさせない人だったから。
それに物心着く前から一緒にいるわけで違和感をあまり感じずに育ってきた。それは姉の真理亜にもいえることで。
真理亜は俺とは歳が七つ離れている。
何でもよくできていたが、なかでもヴァイオリンの腕は素晴らしかった。
俺は姉の弾くヴァイオリンの音が好きだった。
俺は割と小さいときのことを覚えている。といっても2歳くらいからだが。
姉貴は俺が二歳のとき、つまり九歳の時にはコンクールに出て賞を総なめ。
将来有望なヴァイオリニストだった。
姉貴は無理やりヴァイオリンをやらされていたわけではなく、自分で楽しんで弾いていたからいつも嬉しそうな笑みを浮かべていた。
だけど花鈴はその笑顔を奪ったんだ。