時を越えて ~約束~
そのとき真理亜は何かを感じたみたいで、
「花鈴はどうしたんですか?」
と聞いた。
少しの間の沈黙。
花鈴の両親は呟くように言った。
「あの子は、頭を強く打って…一時的な記憶障害を起こしているんです。」
真理亜がせっかく助けてくれたのに申し訳ないと思っている表情だった。
真理亜は自分のことでは弱音も恨み言も言わなかったのにこのときだけは、「どうして…花鈴なの…」と泣いていた。
俺は花鈴と会ったことはなかったから感情移入はしなかった。だけど真理亜が泣いているのは見たくないと思った。
そこで幼い俺が思いついたのが“真理亜に花鈴を会わせる事”だった。