bloodylover
体にはこれといった拘束具はつけられていなかった。
見覚えの無い部屋を見渡し思案する。
部屋に置かれているのは自分が使っているベットと古びた机。
そして本棚だけだ。
華美な調度品等は一切無く、必要最低限の物しか置かれていなかった。
此処は何処なのか。
何故、自分は見知らぬ部屋で見知らぬベットで眠っていたのか。
恐らく、あの青年が自分を此処まで運んだのだ。
少女には自ら此処に来た記憶が無い。
辺りに危険な気配は無く静かに、穏やかな時間が流れていく。
けれど、あの青年の思惑が読めない以上少女にとって此処も危険だ。
彼が現れる前にとっととおいとまするべきだろう。
もう一度、よく部屋を見渡してみる。
逃げられそうな所は二つあった。
一つはドア。
そしてもう一つは窓だ。
ドアから逃げるのは論外だろう。
この場所の造りを把握していないのだから、あまりにも危険すぎる。
けれど幸いにもこの部屋は一階のようだ。
窓から逃げるのは容易いだろう。
そう思い立って一瞬逡巡し、ベットから降りて窓辺に近づく。
窓の鍵を開けようとし、手を伸ばしたその時だった。
「おはよう。よく眠れたかな??」