bloodylover
声のした方へふり返ると、寝起きの目にはチカチカして騒がしい髪色の青年が、扉に持たれかかるようにして立っていた。
朝日に反射して白銀(プラチナ)の髪がキラキラと輝いている。
そしてその表情にうつるのば完全なる善意"という笑顔。
はっきり言って胡散臭ささしか感じない。
「見逃してはくれないのね」
これが"完全なる善意゙だと言うのなら、最後まで見逃してくれればよいものを。
そう皮肉気(ゲ)に言うと、白銀(プラチナ)の青年は酷薄にも見える薄い唇を弓なりにして微笑んだ。
「お礼も言わずに出ていくの?それはないんじゃない?」
「アリガトウ、さようなら」
完全に棒読みだ。
『さようなら』だけ強調して言ってやる。
確かに、助けてもらったのだからそれなりの恩はある。
しかし、だ。
それをダシにされて、また我が身が危険に晒されれば意味が無い。
けれど、少女の態度に気を悪くした風もなく、青年は一つ大きな溜め息を漏らしただけだった。
「そんなに警戒しないでよ。これは、"完全なる善意゙。別にキミを利用しようとか、陥れようとか考えてるわけじゃない」
"完全なる善意゙
強調して彼は言う。
けれど、とてもじゃないが信用できない。
それよりなにより、少女は目の前で愉しそうに唇を吊り上げて笑う、青年が気に入らなかった。
「何が目的なの?」