bloodylover
「生きたいか?」
再び問われた問いに、少女は声を絞り出した。
「まだ……死ねないっ―」
擦れた力無い声が、言葉を紡ぐ。
けれど、声の主にはそれだけで充分だった。
足音が、近づいてくる。
視線だけ上げ、少女は近づいてくる人物を凝視した。
先程の声色から打って変わった楽し気な表情を浮かべ、その人物は地に横たわる少女の前で歩を止めた。
痩身の美しい青年が少女を見下ろしてくる。
その美しい容姿に、自分が置かれている状況も忘れて思わず見惚れてしまった。
意志の強そうな凛々しい眉。
長い睫毛に縁取られた瞳は漆黒の闇を思わせる。
風に梳(クシケズ)られて戦ぐ(ソヨグ)髪は白銀(プラチナ)だ。陽に当たり薄く輝いている。
酷薄にも見える薄い唇は飄々とした笑みを湛えていた。
その整った端整な顔立ちに一瞬瞠目し、けれど少女はすぐに青年を睨み付けた。