刻の無い少女




「蝶さん。なんで教えてくれないんですか?」


「だから、あたしはみやび…なって………。
はぁ~。




なんで教えないかだっけ?」



「はい。」



深いため息をついてる…具合でも悪いのかな?



「簡単に言えば


あたしは刻無ちゃんにそれを教えても

メリット、見返りがない。」



「見返り?」



その言葉を反芻する。


「そっ、見返り。教えても何もあたしにはこない。


それは合理的じゃない。


何かするなら、それなりの見返りを、それ相応の対価なんかが欲しいね。」



蝶さんは、なめらかな口調で難しいことを話した。


でも……。



「でも……。何も、何も知らない人にそんなことを言ってもわからないし、
見返りを求めずに何かをするのは、やっ…優しさというものじゃないですか?」



虚は私が分からなかったら、いつも優しく教えてくれた。


それはぽかぽかと暖かくなるもので
感覚的に感じるそれは



優しさというものだと






「優しさねぇ~。

ふふっあははははははは」









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