刻の無い少女



「みんなひらひら落ちていく。」


「秋だからな。」


「秋……?


…虚!?」



いつの間にか虚と自然に会話をしていたらしい。


「虚、秋はみんな落ちていくの?」


「それは違うぞ。秋は実りの季節だ。」

「実り?」


みんな落ちていくのに?



また落ちていく枯葉を見た。あんなにも悲しく落ちていくのに?


「きのこにあけびに柿などかな。いろんなものが実り恵みを与えてくれるいい季節だ。」


「うん。」


その内なれてくるのかな?あの落ち葉にも悲しむことがないくらいに。



「そうだった。昼ご飯ができたぞ。いっしょに食べよう。」

「うん。」






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