刻の無い少女




まどろみから覚めると天井が見えた。




古そうな、木でできた天井。





ムクリと体を起こすと虚がいなかった。




「虚?」




どこに行ったんだろう?


ここどこ?






布団から出て近くにある襖に向かった。





ここが出口かな?





開けるとそこは押し入れだった。




今度は逆の襖を開ける。




そこには細い廊下が横たわっていた。






いったいどんな構造だと言いたくなるが
鵯は虚を探し求めて廊下に出た。





虚はどこだろう。



鵯にとって虚だけしか解らなかった。



虚が誰なのかも

何故自分を斬ったのかも


鵯は何も知らない。

















< 29 / 143 >

この作品をシェア

pagetop