刻の無い少女
まどろみから覚めると天井が見えた。
古そうな、木でできた天井。
ムクリと体を起こすと虚がいなかった。
「虚?」
どこに行ったんだろう?
ここどこ?
布団から出て近くにある襖に向かった。
ここが出口かな?
開けるとそこは押し入れだった。
今度は逆の襖を開ける。
そこには細い廊下が横たわっていた。
いったいどんな構造だと言いたくなるが
鵯は虚を探し求めて廊下に出た。
虚はどこだろう。
鵯にとって虚だけしか解らなかった。
虚が誰なのかも
何故自分を斬ったのかも
鵯は何も知らない。