刻の無い少女
鵯がわずかに身動きしたのに気付いて
慌て目を閉じた。
下から見つめられている。
自分でいうのもあれだが、
焦っている。
こういう場合はどうしたらいいんだ。
鵯からすれば起きたとたん抱きしめられているなんて…。
「虚?」
声に反応して見ると鵯がじっと見ていた。
その瞳から、感情は読み取れない。
それが嬉しくもあり悲しくもあった。
彼女が今、私に対して何を感じているのか分からない。
「まだきついだろう、寝ていろ。」
そう言うとあっさりと鵯はまた眠ってくれた。
本当にまだきついだろうなぁ。
時間を斬った
それも先も過去もすべて…。
相当な負担がかかっているはずだ。
なにか精のつく食べやすいものを作ってこよう。
そう思っていざ布団から出ると、あの暖かさが名残惜しい。
雑念を振り払い台所へ向かった。