刻の無い少女
「庭へ行こう。」
何故庭へ?行くんだ。
自分の発言に疑問を抱いた。
「庭?」
鵯はきょとんとした表情をした。
庭とはいったい何なんだろう。
そう訴えかけるように…。
先も過去もすべての刻を奪った。
まさかそんな些細なことまでも失っていたか。
今、目の前にいるのは何も知らない幼子同然の鵯…。
すべて私のせいだな。
だが――――
鵯をこうしてしまったこと
鵯を連れてきたことは、
間違っていなかった。
そう信じている。