刻の無い少女
「ハッ!」
勢い良く身を起こすと鋭い頭痛が頭を襲った。
ここどこだろう?
虚はどこ?
頭痛に耐えて立ち上がり襖へ向かう。
ふらふらで左襖へ向かうと、
襖が勝手に開いた。
「立って大丈夫なのか?ヒヨ。」
「ヒヨ?」
「鵯…。だから、ヒヨだ。いやか?」
首を横にふる。
いやじゃない。それが私という人間の名ならば。
そう虚が名付けくれるならば。
私は虚しか知らないのだから…。
ふと、甘い匂いが鼻腔に香った。