刻の無い少女


それは虚が持っている盆からだった。


蓋がしてあって中身は見えない。




「粥を作ったのだ。食べれるか?」



うなずいて盆を受け取ろうとしたが、


ひょいと虚にかわされてしまった。





「立って食べるつもりか。」


ため息混じりに言われ、なぜいけないのか考えた。



「立って食べては行儀が悪いし、こぼしたらどうする。まだ熱いのだから。」


そうなのかと納得して、コクコクと何度かうなずいた。



そんな様子を虚が痛ましいものを見るような目で見ているとも知らずに。







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